福井県 カンガルークラブ  
※このサイトは、赤ちゃんがとっても小さく産まれて不安をもった経験のある母ちゃんが
 暇を見つけて運営しているページです。
HOME > H23.10.26 > 青木先生の講演
とき 平成23年10月26日(水)
ところ 福井健康福祉センター
カンガルークラブ 福井・敦賀 第2回 合同イベント
【青木先生の講演】

 ※長文失礼し、縦スクロール願います。
 今回は、数年前まで「ことばの教室」で勤務され、現在はフリーで行政の相談窓口などで活動されている青木先生に、発達の中で心配なものの1つである“ことば”についての講演をお願い致しました。
 先生は、発達心理学を専攻されていることもあり、子育てで心配なことに対して一つひとつアドバイスをして下さいました。
 お忙しい中、私たちの為にお時間をとって下さいましたこと、心より感謝とお礼を申し上げます。

 今回参加できなかったお母様たちの為に、先生の快諾がありましたので、資料を載せさせて頂きます。また、参加者から質問があったものをまとめましたので、日々の子育ての参考にしていただければと思います。

 “ことば”が出はじめる子どもへのかかわり方について
講師: 言語聴覚士 青木道枝 先生

〔当日の資料〕
pdfなどの閲覧アプリがインストされていない端末から閲覧される方が多いため、TEXT表示します。

☆ お母さんとお子さんと、共に感じ合うここちよさ
ゆったりと、体温を感じ合う
視線が合うようになる
いい表情が出る“遊び”を、繰り返し分かち合う
母がいないと不安になり、泣く
 お子さんを胸に抱き、ゆったりと、呼吸してみましょう。
お母さんが“ここちよさ”を感じているとき、お子さんも、ここちよいはず。
お母さんと共に感じる“ここちよさ”は、人に対する信頼や愛情の源となります。
 子の笑顔によろこびをもらい、子の泣き声に応えようとする中で、親としての愛情や自信もふくらんでゆくことでしょう。
母性も、もともとあるものではなく、時間をかけて育てられてゆくものです。
お子さんの成長と共に、あなたご自身の世界も少しずつ広がってゆくことでしょう。

☆ ことばの土台
人の顔をじいっと見つめる
声の方に向く
あやされると、声を出して笑う
「名前」に反応する
「いないいないばー」に、はしゃぐ
人見知りをする
身振りをまねする
手に握っている物を落としては、拾って欲しそうにする
「ちょうだい」に応じて、渡してくれる
母親が見ている方向に視線を移す
指さしが出る
「ぶーぶどこ?」「パパはどこ?」などと聞くと、そちらの方を見る
何かを言いたそうに、しきりに声を出す
ほめられると、同じ動作を繰り返す
ことばを育てる暮らしの中のヒント
☆何をしたいのか、何が欲しいのか、察してあげる
1語か2語の簡単なことばにして、代弁する
☆“要求の時”をうまく生かして
どう表現するのかな?
視線が合った時に、ことばがけ
yes,no の身ぶりで答えてくれるかな?
☆やりとり遊び
おいかけごっこ(期待して見るようになったら、しめたもの)
ボールのやりとり
☆“身ぶり”も、大切なことば
(ちょうだい)  (もうひとつ)  (あけて)
☆簡単なお手伝いができる
新聞ちょうだい
パパに〜どうぞって
☆“言えることば”は焦らず、“わかることば”を増やす
☆お子さんの言うことばから、広げて言ってあげる
「ブーブ」あった、  「ワンワン」いない、  「ジュース」ちょうだい
☆耳からだけではなく、視覚的な補助を
具体物の提示(例:車のカギ)
理解を助ける身振り(大小)
数の理解(もうひとつ→ふたつ)
      (1対1対応)
☆こだわりのようなものを、無理に取り除こうとしない
こころの逃げ場、安定剤でもある

  ♪♪ お母さんの、体とこころの休息も、大切にね


※以下、先生の話をまとめました。

<ことばの土台〜3種類のことば〜>
実は “ことば“には3種類ある
@ 音声のことば
A 視線のことば
  ⇒ これらの3種類を合わせて“ことば”
B 身振り手振りのことば
  “ことば“は日々の親子の関わりがはぐくまれる中でから出てくるもの。
  “音声のことば”がまだでも、子どもが視線や身振り手振り・指差して何かを伝える行動は、もう始まりなのである。
  子どもが何か言いたそうに“ことば“にならない声を出し始めたら、子どもの気持ちになって子どもがどうして欲しいのかを親が察して代弁してあげることが”ことば”を広げるためには大切。

<ことばを育てる暮らしの中のヒント>
子どもに「ちょうだい」「もう一つ」「あけて」などの“身振り”を教えるには…
子どもの横に寄り添って、子どもに見えるようにジェスチャーする。
ジェスチャーは家族で共有して子どもに伝える。
“言えることば”でなく、まずは“わかることば”を増やす
“わかることば”とは、子どもがその場の状況で判断してわかることばではない。
例: ボール遊びの中で「ボールとってきて」と言うと、遊んでいるボールをとってきた=わかることばではない。子どもの目の前に物がなくとも、物がイメージできてさがしてこれるもの=子どもが“わかることば”である。
物の大小を教えるには、
大きい⇒両手を大きく使って大きいを表現
小さい⇒手先だけで小さいを表現
色を教えるには、
子どもの好きなものと結びつけて表現
(イチゴの赤 バナナの黄色 etc)
ボールのやりとり
子どもと向かい合ってボールのやり取りは大切な遊び。
ことばを話す前は、まず相手をじっと見て注目しなければならない。
もし、ボールのやりとりのなかで、子どもが投げるのを待っているようになったら、ことばのやりとりをする準備ができたサインである。


<参加者からの質問>

Q: 人見知りが強い
A: 人見知りは子どもが安心できる親か否かわかっている大事な反応
場見知りも同様に子どもの発達において大事なステップ。
過剰に心配しすぎず、安心できる親のそばの元で、焦らずに少しずつ慣らしていく。

Q: 子どもがあまり絵本に興味がないのに読み聞かせた方がよいのか?
(子どもに絵本を読んでも、やぶったり、読んでる途中で遊びに行ってしまう)
A: 絵本は必ずしも文字通りに読まなくてはいけないわけでない
絵をじっと見たり、指差ししたところを見てくれるよう興味をもったら始めればよい。
(子どもの好きなキャラクター本などからはじめると良い)
(本の順番通りでなく、子どもの好きなページからでも良い)
子どもが少し話を聞けるようになったら、まずは脚色をつけ、文を短くしてわかりやすく読んであげればよい。
もし本を破りたいなら、新聞を破らせて遊ばせる。すると指を使う力がつく。
指先の発達はことばを発するために必要な舌先の動きの発達と平行しているので、この遊びも重要である。

Q: ドアの開け閉めをして遊ぶので困る
A: 子どもが関心をもって良い表情で遊んでいるなら、それは子どもにとってよい遊び
危険がないよう見守り、子どもが納得するまで付き合うことも必要。すぐにやめさせるより、本人が納得する方が落ち着くのも早い。
ドアの開け閉め
電気をつけたり消したり
畳の目に沿って歩く
新しい場、人に慣れない
などは多くの子どもに見られる行動。
数カ月続く場合もあるがずっと続くものでもないので、子どものこだわりを急にやめさせなくても良い。

Q: 子どもにダメなことを教えるには?
A: 道路への飛び出しや高所に登るなど命の危険があるような場合には、まず子どもと視線を合わせて少し怖い顔で「ダメ」と言う。
しかし、「ダメ」のことばは子どもにとって強い言葉の印象があるので、あまり簡単に「ダメダメ」言わないほうが良い。手で「×サイン」などを作り、子どもに教えるのも一つの方法。また、子どもが危険な行為をしないよう片付けをし環境を整えることも重要。

Q: 主治医から、ことばが遅いのでリハビリに通うよう勧められたが効果があるのか?
(子どもはまだ何かを要求するときに少し声を出す程度なのだが…)
A: リハビリや言葉の教室に月に1〜2回通う=すぐにことばが出てくるものではない。
教室は、専門家より日常的にできる“ことばを広げるヒント”がもらえる場である。
専門家が子どもと遊んでいるようにしか見えないものでも、その裏にはことばを広げる根拠があるので、わからないことはどんどん質問して!

Q: 子どもが何を言っているのかはっきりわからない
A: もし、子どもが言いたいことの察しがつく場合は、子どもにかわって一言で代弁してあげる
察しがつかない場合は、子どもが怒って機嫌が悪くなっていったら、子どもの気持ちを子どもの目を見て受け止める。すると、子どもの気持ちも落ち着いてくる。

inserted by FC2 system